剣禅話⑩
(鉄巻之説:門生聞書)
「因果によって移り変わる世俗の事象、つまり有無の智は日々に増えているが、有無の妙智は日毎に失われていっている。そもそも世俗的な事象はどんどん変化していってしまうもので、信頼できるところは何一つない」
目に見えているような事象はそのほとんどが移り変わり消えてゆくものである。残らないものである。そのような信頼できないものに囚われずに、確固たる真実を見極めるために日々の修練がある。
「そもそも『無為とは何か』と言えば、動きがなく、しかも同時にすべてが動いているということである」
矛盾しているようだが、自然の在り様に任せて、空っぽになっていることではないか?静も動もなく、気配を断っている有様のように思う。
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