氷川清話③
「漢学というものは決して悪い学問ではない。やりようによっては随分役に立つ。こんにちのように一向振るわない、というのは漢学をやる人が悪いからだ」
学者の人品が卑しければ素晴らしい学問分野でも没落するものである。
学問とは人類全体、地球全体にとって有益で公平なものでなくてはならない。
「人間も(ある程度は)生まれが大事だ。小国でも貴族は(さすがに)貴族(な)だけの潔白な心を持っている」
環境(育ちや出自)によっても人間の品格は左右されるものだ。我々平凡人なら尚更である。
「陸奥(宗光)は、人物の部下としてその幕僚となるに適した人物で、人の長としてこれを統率するには不適当であった」
坂本龍馬配下で輝きを放った陸奥宗光のことを端的に表している言葉である。人には誰しも適材適所というものがあるのである。
「日本人ももう少し公共心というものを養成しなければ(国家としての)実績をつくりあげることはできまいよ」
我欲、利己的な心持ちが前面に出ていたのが維新の頃であったのか?国家や日本社会の利益を考えた事業を志す風潮の無さ、人物の少なさを憂いた言葉であろう。
「苦痛を顔色にも出さず、じっと辛抱しておると世の中は不思議なものでいつか景気(自己への評価のことか?)も回復するものです」
困難な状況にあっても心折れずに耐え忍いでいれば、必ずや挽回できるという実体験に基づいた深い言葉である。ただ耐え忍ぶだけでなく、コツコツと努力も絶やさないことは言うまでもないだろう。
「時勢は人を造るものだ」
加えて、
【時勢に選ばれし者】が大人物になるのであろう。
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