氷川清話⑦
「政治家が宗教に手を出すのは、とんでもない大事を引き起こすもとだ」
宗教というものは非常に取り扱いの難しいものなので、軽率に首を突っ込む類のものではない。いつの時代でも武力・政治力と結びついた宗教団体は国家運営の強力な敵対勢力となると思う。
「剣や鉄砲の戦争に勝っても、
経済上の戦争に負けると国は仕方がなくなるよ」
まともな国の在り方とは、国民生活の充実と向上のためにあるとしたら、やはり武力に訴える行為は愚かである。戦争をしたしわ寄せは、全てその国民にのしかかってくるのだから。ただ、経済上の戦争での勝ち負けなどというのはもはや現代では意味がないのかもしれない。
「空論ほど無益なものは世の中にはまたとない。空論というものは国が貧乏すればするほど盛んになる」
無益だから空論であるし、実態を伴わない意見同士をぶつけても何も生み出せないものだ。
「他人の打つ手は批評ができるが、いざ自分で手を打ってみると、傍で見ていたようには行けないものさ」
実際、自分でやってみると、傍で見ていたようには全然できないものである。実体験を持たないことに対してあれこれ批評するのは、出来れば差し控えたほうがよい。
「平生、小児視している者の中に、存外 非常の傑物がある」
若くて経験の浅い者や、その若さから自分が侮っている年代の中にも、想像を超える才能を持った人物がいるものである。後生畏るべし、なのだ。
「近頃の人は、みな自分で偉がり議論ばかりしてうるさくて仕方がない」
自己主張だけうまくても、結局主導権の取り合いに心を囚われているから、ただ煩いだけで中身がないことを見抜かれる。
「元来、人間の知恵は未来のことまで見透かすことなど出来ないのだから、過去のことを書き記した歴史というものに鑑みて将来を推測しようとするのだ」
将来を見通すには、先ずは過去・歴史に学べということ。その法則性を見つけることが【歴史に学ぶ】ということだと思う。
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