孟子(17)
【尽心 上①】
「其の心を尽くす者は其の性を知るなり」「殀寿(ようじゅ)うたがわず、身を修めて以て之をまつは命を立つる所以なり」
心を極め尽くす者は人間の本性(ほんせい)を理解することが出来る。寿命を疑わず我が身を修養して、そうして死を待つのは天命を全うする方法である。
*心を極め尽くすとはどういうことなのか自分なりに考えてみると、それは人情の機微に精通するということではないかと思う。人間は情を持つ生き物だから、その内面を知り尽くすことが本性を理解することにつながる。
*全てのものには寿命があり、それは人間も同じである。寿命を受け入れ、人生を通じて修養に努め、静かに死を受け入れる。それが天命を全うしたと言える事なのだろう。
「命に非ざるはなし。順(したが)いて其の正を受く」「其の道を尽くして死する者は正命なり。桎梏(しつこく)して死する者は正命に非ざるなり」
この世の全てにおいて天命でないものはない。だから君子は素直に正しき運命を受け入れるのだ。力を尽くし道を全うしての死は正しい運命である。刑死するのは正しい運命ではない。
*刑死するような状況に陥ってはならない、という戒めと、正しき運命に沿って全力を尽くせという激励に感じる。
「学ばずしてよくする所の者は其の良能なり。慮らずして知る所の者は其の良知なり」
学習することなく生まれつき(道を)行える者は、良能を持っている人である。思索することなく生まれつき(道を)知っている者は、良知を持っている人である。
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