2023年02月03日
正法眼蔵随聞記⑤

8・ただ一つのことを専一に行うことさえ生まれつき力の劣った者にはできはしない。まして多くのことを同時にして心やその働きを静かにしないのはいけないことである。
平凡人であればあるほど、あれもこれもとマルチタスクはこなせないもの。こんな人はやることなすこと中途半端で終わりやすい。専念する事が一つであっても、凡才には成就が難しい。
11・人は多くのことを同時に学んでそのどれもしっかりと出来ないよりは、ただ一つのことを十分究めて、人前で通用するほど学ぶべきである。
何事も一つのことを万回繰り返したならば身に付くし、達成できるもの。継続努力こそ最高の能力である。
15・世俗の人は大抵善いことをする時は人に知られたいと思い、悪い事をする時は人に知られまいと思う。
・誰も知らないときに密かに善事をし、悪事をしたら告白して悔いる。
悪事を働いてしまっても、懺悔し罪を償い罰を受ければよいのだ。ただ秘かに善事を行うようなものは悪事に手を染めないのではと思う。
16・内心に自分の事ばかり考える気持ちを打ち破り名誉心を捨てること、これが第一に心掛けねばならぬことである。
・何事につけても名声を欲し自分の都合ばかり考える心を捨て去るべきである。
名誉欲、利己主義は百害あって一利なし。
18・俗世で習慣になった『分別判断を捨てる』場合に、心掛けるべきことがある。世を捨て、家を捨て、身を捨て、心を捨てる、という段階を踏むことである。
俗世で習慣になった分別判断、とは、私利私欲の類であろう。世を捨て→栄達欲を捨てる、家を捨て→同族主義を捨てる、身を捨て→色欲・物欲・食欲等を捨てる、心を捨てる→利己主義・驕奢の心を捨てる、というものではないだろうか。
2023年02月02日
正法眼蔵随聞記④

〈正法眼蔵随聞記 2〉
2・やり方を守るというのは自分に対する執着を捨て指導者の教えに従うことである。世間の人は大抵、元々人から立派だと言われよう、思われようと思っている。その心があるから立派になることができない。
立派だと評価されたいという欲を捨てきれないと、真に立派なレベルには到達できない。
3・広く学び、かつ博く書物を読むことは到底できるものではない。
あらゆる分野を学び、あらゆる書物に精通するなど不可能である。
5・たとえその者が悪人で道理に反していようとも、わけもなく憎み、そしってはならない。
明確な事実関係や根拠なくして、他人を嫌悪したり誹謗中傷するのはやめるべきである。
7(1)・優れた人は自分がその任にある者として当然の働きを発揮する。
自らの立場・役割を認識し、その任を全うする者こそ優秀な人物である。
7(2) ・よしんば自分は道理にかなったことを言っているのに、相手が間違ったことを言ったとしても理屈で攻めて相手を言い負かすのはよくない。相手を凹まさず、自分の間違いにしてしまわず、何事もなくそのままにしておくのが良い。
徹底的に相手を論破することは止めたほうがいい。逃げ道をなくすと、小人ほどとんでもないことをしでかし、災いを招くものだ。
2023年02月01日
正法眼蔵随聞記③

9・法を聞くときは、ただ是非ともまず自分というものを念頭に置かず、相手の言うことをよく聞いて、それから静かに考えてもし欠点や疑問があったならば次の機会にでも欠点を上げて論難し、納得がいったらそのうえで帰依したらよい。
まずは先入観を捨て去って素直に聞き入れること。そのうえで疑問や論理的な難点を解決したならば受け入れるといい。
11・仏道を学ぶ人は心に疑いの無いようにすべきである。問うべきを問わず、言うべきを言わないで過ごしたならそれは自分の損であろう。師匠というものは必ず弟子の質問を待って発言するものである。
師匠や先輩、上役に質問もしないで疑問点を独りよがりで判断して物事を進めると、大概失敗するものである。
13・自分は馬鹿だから...鈍いから...といって(自分を)卑下してはならない。他に心を移さずやり続けていると、必ず道を得ることができる。
生来、もしくは開始時点では他に劣っていたとしても、惑わず一心不乱に打ち込めばひとかどのレベルに必ず到達できるのだ。
14・心を虚しくしていなければ忠言を受け入れることが出来ない。
自然に、素直になっていなければ、どんな忠言、金言も心には響かない。聞くときは心の垣根を取り払うべし。
2023年01月31日
正法眼蔵随聞記②

6・後日を待って仏道修行をしようと思ってはならない。ただただ今日、ただただ今を取り逃さずに その日その日 その時その時 に努力すべきである。
・人間というものは大事件が身に迫ると小事は忘れているものである。
・貧乏で困っている人は(逆に)世渡りで東奔西走してはいけない。
①思い立ったら即実行ということ②小事に囚われている状態=暇で安楽に過ごしているだけ③目先の事ばかり追いかけていると、貧困から脱することはかえって難しい。
7・志が徹底しないのは無常ということをよく考えないからである。我々の体は刻々に片端から死んでいっている。生きているわずかの間に時を空しく過ごしてはならない。
安逸に流されてはならない。その日その日を丁寧に大切に生き抜こう。
8・相手が理解するかしないかは問題とせず、ただ真実をもって答えるべきである。
・お前は私に信服してきたのではない。この衣装に恐れ入っただけだ。
①理解しやすいように真実を伝えることも重要だと思う。②その人の本質を理解することなく、地位や名声、格好で表面的に判断する人間が世の中の大多数である。
2023年01月30日
正法眼蔵随聞記①

〈正法眼蔵随聞記 1〉
1.人の批判を気にするなら、物の道理の見通せる人からの批判を気にすべきである。
自分に対する批判の中身を吟味して、受け入れるものとスルーするものを区別する必要性について述べている。
3.人はめいめい一生に備わった食べ料があり寿命がある。分を超えた食や寿命を求めても得られるものではない。
キャパ以上のものは得ることは出来ないし、際限なく求めても叶わない。無欲に徹せよ。
4.ひたすらその専門の道を捨てずに学ぶ時、その名声を得る。
一極に徹底して継続することの効果を力説している。
5.実際に経験していないなら目で見なさい。目で見ていないならば耳で聞きなさい。耳で聞いたなら実際に目で見なさい。目で見たなら実際にやってみなさい。自らやったことがないならせめて見ておきなさい。見ていないならばせめて聞いておきなさい。
仕事でもいい、起こった出来事でもいい、自身で確かめ、理解しようとする姿勢の大切さを述べている。自分なりに確かめることで、その事柄について初めて述べる資格を得ると思う。