2021年05月20日
晏子春秋(11)

「禄は徳の有無により進退すべきものである」
(報酬というものは、対象者の徳性の有無によって与え方を変えるべきものである)
「士を待遇するにはこれを困窮せしめてはいけない。困窮せしめると志を高くし重きに任ずることが出来ない」
(有能な人物、素晴らしい人物へは充分な待遇を与え、困窮させないことである。困窮させてしまうと、高い志を失い、重要な任務を果たすことが出来なくなるものだ)
賢者である晏子の臨終は淡々としていた。
臨終に際し「既に成すべきことは成し、言うべきことは言った。死後はよく見ておいてくれ、我が家の家法を変えることの無い様に.....」
(公のことではやり残したこと、心残りがなく、あとは私的なことを妻に頼むだけのシンプルな死に様は、範とするに足るものである)
【晏子春秋 終わり 次回からは 呂氏春秋 を読み解いてゆきます】
2021年05月19日
晏子春秋(10)

晏子が君主の心構えとして曰く、「民に禁ぜんと欲すことは、我が身にまず禁じなければならない」
(何も君主に限らず、人としての大切な心構えである。自らをしっかりと律し、他者を思いやる誠実な心がなければ社会は円滑にならない)
「富は人の欲するところであるが、これには限度が必要だ。人の欲には限りがないが『正徳』という幅を設けて、欲望に制限を加えなければならない」
(富や欲望は、制限を加えなければ人間は必ずおかしな方向に行ってしまう。正しい規範・基準を設けて常に照らし合わせ、確認することが正道から外れない心掛けである)
「厚く公家の禄を受けて、これを民に施し私恩を売る者、禄を隠し蓄える者、主人の財をかすめ取る者、これらの三類型は組織の中に在って私財を蓄える者の典型である」
(多すぎる報酬をもらってそれを自分より下の者に分け与えて人気取りをしたり、逆に所得隠しをする者、上司や公共の財産・利権をかすめ取る者、これらは組織の中に在って私腹を肥やす佞人である。大企業や巨大な組織にはこのような人がいまだ存在するようだ)
2021年05月18日
晏子春秋(9)

「下に直辞なければ上に隠悪あり、民に諱言多ければ君に驕行あり」
(部下からの、トップへズケズケとした直言のない組織は、隠している悪事が生じるものである。民衆が無意味なことを話している国は、統治者側に驕慢な行いが多いものである)
晏子春秋の中では、大政治家の条件として、(1)国家を立てて動揺させない (2)上下の名分を正す (3)官吏の制度を合理的に秩序立てる (4)外交上の信頼獲得、を挙げている。
また、晏子の家法として、①静かに、ゆったりと落ち着いて正しい道(道理)を談じること ②常に他人の美徳を誉め、逆に自分については常に切磋せよ ③家事(家族のこと)国事(国家のこと)を通じて、賢士を尊ぶこと、という三ヶ条を残している。
2021年05月17日
晏子春秋(8)

「一心があるならば百君にでも仕えられる。しかし三心を以てしては一君にも仕えることは出来ない」
(誠実な心ひとつであれば、どんな君主にも仕えられるが、計算高く狡猾な損得勘定をもってすればただ一人の君主にも仕えることは出来ない)
「衆にして義なく、彊にして礼なく、勇を好んで賢を悪む者は、禍必ずその身に及ぶ」(晏子が荘公を諫めて曰く)
(大衆に流されて義理がなく、驕慢にして礼を失し、いたずらに勇力を好んで賢を遠ざけるものは必ず禍に見舞われるものだ)
「回(たが)うことを以って福をもとむべけんや」(恫喝された時に晏子が語った言葉)
(信念を曲げて、保身するなど出来ない)
「衣が新しいのが良いが、人は古い知り合いが良い。古い知り合いは(お互いの)実情を知っているから」
2021年05月14日
晏子春秋(7)

「楽しみは人に後れて楽しみ、憂いは人に先立って憂えるのが人の長たるものの心がけである。」
(先憂後楽。この精神がなければ、首長や政治家としての資質に欠けると言わざるを得ない。)
国家安泰の条件とは、①言論の自由が保障されていること ②民に優しい政治であること ③個人が尊重されていること ④賞罰が公平であること ⑤人材を適材適所に配していること ⑥周辺国との国際平和が保たれていること、である。
(現在にも通じる事ばかり。今の日本、この条件に照らし合わせてみると、全ての事項において50%くらいの達成率ではないかと思う)
「民のために図るならば、道は自ずとそこに在る。民を見捨てるならば、何の正道も有り得ない。」(乱世に処する為政者の心構え)
(民の側に立った政治を行わなければ、それは全て邪道であるということ。服従、隷属させるのが政治ではないし、ましては使役、搾取ばかりではいずれその体制は崩壊するものだろう)