2023年03月24日
言志四録⑲

「満ちた状態を持続させるコツは自分の本分を守るということであり、本分を守るとは自分の身の振り方、(持てる)才能、(備えた)徳、とを(客観的に)考えて分を超えないようにすることである。」
「禍さえなければそれだけで幸せだし、恥辱を受けることがなければそれだけで栄誉であるし、若死にでなければそれだけで長生きなのだし、飢えることがなければそれだけで充分 富者といえる。」
「自分が人に恩を施した場合は(きれいさっぱり)忘れてしまう方が良い。逆に人から恩を受けた場合は決して忘れてはならない。」
「恕(思いやり)は人に施すべき事であって(恕を)自分自身にかけてはならない。」
「日常の『俗事』は生活に必要な『実用』でもある(不可欠な要素である)。『俗』だからといって侮ってはならない。」
「自ら(能動的に)名誉を求めたり(利己的に)利益を貪るのは弊害をもたらす。」
「他人に中傷されようが逆に誉められようが、又、自分が得しようと損しようと、そんなものは人生の雲や霧のようなものだ。」
「法律の精神は守られなければならないが、善くそれを運用し、運用しながらも法律の範囲を逸脱しないことが政治の役割である。」
「四十歳から六十歳までは働き盛りである。立派な徳を立て、大業を成すのはこの年齢である。」
(言志四録 終わり 次回より 貞観政要 を読み解いてゆきます)
2023年03月23日
言志四録⑱

「多忙だからと言って自分を忘れてはならない。『忙中閑あり』のゆとりが無くてはならぬ。又、七難八苦があろうとも、むしろその苦しみを楽しみに変えるぐらいの余裕を持て」
・死中活あり(絶体絶命の中にこそ逆転の目がある)
・壺中天あり(世俗的生活の中に自分だけの楽園を見つけよ)
・意中人あり(私淑できる人物を持て)
・腹中書あり(心にしっかりとした哲学・信念を蔵せよ)
「得てはならないものを得るな、失ってはならないものを失うな、これが処世の基本である。」
「良い方を自分が取り、悪い方を人に押し付けるのが 驕 、利益を自分が取り、損益を人に与えるのが 争 、驕争 は身を滅ぼすもととなる。」
「立派な人物は何処にいてもどんな地位でも不平を抱かず、地位に応じた為すべきことをやり、決してあくせくしない。(物事に対して)満足もできず楽しめもせず、というのは功名や利益を貪る心を抱いているからだ。」
「俗世間に身を浸しつつ、浮世離れした心境でいることは難しい。」
「少年期に勉強していないと壮年期に物事の的確な判断がつかなくなる。」
「何事も前もって(的確に)準備すればことは成功する。事前の準備を怠れば失敗は当然である。」
2023年03月22日
言志四録⑰

*以下の理由で学問してはならない。
①人を欺く②人と争う(競う)③人をそしる④人を馬鹿にする⑤人の邪魔をする⑥人に自慢する⑦売名⑧利を貪る
「如何なるものでも窮め尽くせないという道理はない。又、物事が如何に変化しようとそれに対応出来ないということはない。」
「人間は心に楽しむところが無くてはならない。楽しみは自分の心の持ち方によるのであって、自分の(心の)外にあるものではない。」
「心が爽やかであれば、どんな苦労でも難なく処理することが出来る。」
「気を充実させておけば何事もやり抜くことが出来る。」
「英気は天地にみなぎる気の中で最も優れたものである。」
「常に敬の心を持つには、独りでいる時も道に外れないように(行動)することが大切である。」
「何かをやるときには、まず最初にそのことが道理に合っているかどうかをよく考えよ。又、自分に都合よく考えて(道理を忘れて)はならない。」
「何よりも自分で自分を欺かず至誠を尽くす。これを天に仕えるというのだ。」
2023年03月20日
言志四録⑯

《言志耋録》
「実行することなく、ただ知っているだけなら空想である。知恵なくして行うのは妄動である。」
「学問を始める際は志を立て、それから書物を読むべきである。いたずらに知識を広めるための学問は人格形成の点で疑問である。」
*真の学問は心の汚れを清め行いを良くすること、悪い学問は博学や名誉を欲するためにただ知識を詰め込むこと、である(中江藤樹)
「学問を志す者は、頼みとするものは自分一人であることを覚悟しなければならない。」
「欲望を抑えきれないのは志が固まっていないからである。」
「学問は人から強制されてするものではなく、必ず自発的にしなければならない。」
「肉体的な欲望に動かされ、精神的に生きようとする心を阻害するのは【私利私欲】である。」
「心の本体は(実体が)無いようであるが、存在しているものとして追及してゆくのが修業である。」
2023年03月17日
言志四録⑮

「怨まれない方法は【恕】すなわち思いやりであり、争わない方法は【譲】すなわち一歩下がって譲ることである。」
「世の中の人は誰もが、部屋を掃除することは知っていても(悪い)心を掃除することを知らない。」
「他人の過失を責める際、徹底して追い詰めてはならない。二三分残して(追及を)やめて改心へ仕向けよ。」
「進むこと、成すことは(もとより)簡単な事ではないが、最も難しいのは引退の時期を決めることである。」
「人を用いる場合はその長所を見て短所は見ないようにする。自分が(独力で)世渡りする場合は自分の長所を忘れ、短所を補うように努力しなければならない。」
「小さな知恵はちょっとした事に役立つ。大きな知恵は後世まで考えた(又は影響する)仕事を築く。」
「人(の才能)にはいろいろ使いどころがあり、故にどんな才能(や人材)でも棄てるべきではない。この使い分けを適材適所という。」
「人は老人になると厳格になる。それはよいが優しくなりすぎるのはよくない。」
「養生の心掛けというものは、ただ節度を良く守り過度にならないことである。」
*食事の際には食べる量(:一度に口に運ぶ量)を少なくし、噛む回数を(それまでより)多くせよ、というのが養生の秘訣である。